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2012年06月01日

3月の決算を終えた会社の経営者はこの時期、定時総会で次期の役員報酬をどれくらい支給しようかと、とても頭を悩ましているのではないかと思います。

税務研究会発行の週間税務通信平成24年5月28日号NO.3214を読んでいると、

「決定版 他社の支給額はコレだ!」

との刺激的なタイトルで業種別・資本金階級別にみる役員賞与・役員給与の額一覧が掲載されていました。

これは平成23年10月に発行した「平成22年度法人企業統計年報」を用いて税務研究会が編集したものです。

参考までに資本金1000万円未満と1000万円以上5000万円未満までの会社で、当事務所でも関与が多い業種の役員報酬の平均額の一部を以下に引用しますと、

資本金別       1000万円未満     1000万円〜5000万円未満
食品製造業         255万円        512万円
その他の製造業      360万円        636万円
建 設 業          381万円        477万円
卸 売 業          355万円        511万円
小 売 業          352万円        475万円
不動産業           310万円        370万円
飲食サービス業       311万円        448万円

こうしてみると、資本金1000万円以上5000万円未満のランクはともかくとして、1000万円未満の会社の役員報酬は結構安いですね。
資本金1000万円未満の企業の役員報酬はほとんどが300万円台です。
中でも、食品製造業などはひょっとして従業員の給料より安いんじゃないかと思えるほどです。

ここに記載していませんが、資本金1000万円未満の企業の役員賞与に至っては、支給がない業種も多く、全産業平均でも約1万円と無いに等しい有様です。

もちろん、集計した会社の中には立派に儲かっていて役員報酬もしっかり取られている会社もあると思いますが、中小企業経営の厳しさを実感させます。

上記の資料は、あくまでも平均した役員報酬ですから、集計した法人数の多寡や、その職位、サンプリングした法人の経営内容等にも大きく左右されると思いますので、ご自分の役員報酬と比較して一喜一憂する必要はありませんが、一つの参考資料として、ご覧下さい。

2012年05月29日

3月決算法人の申告もいよいよ大詰めを迎え、当事務所もなかなか忙しい状態となってきました。

さて、4月から新年度入りして早2ヶ月が過ぎようとしていますが、自計化しているところは決算確定を待たずに、新年度の元帳記帳を進めているところも多いと思います。

そんな中、平成24年4月1日以後開始事業年度からは年間売上が5億円を超えそうな事業者は消費税の会計処理については若干注意が必要です。

というのは平成23年税制改正で、課税期間の課税売上高が5億円を超える事業者は仕入税額控除について、
課税売上割合が95%以上の場合に認められていた仕入税額の全額控除が認められなくなり、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかで計算することになったためです。

今回のこの消費税の95%ルールの改正は、日々の会計処理に大きく関わってきますから、その処理に当たっては経理担当者の理解と協力が不可欠です。

ということで、既に昨年の秋ごろから、該当しそうな顧問先には話をしていたのですが...

一括比例配分方式を適用した場合の2年間の継続適用などの、メリット、デメリットの説明まではいいのですが、
「会計処理に当たっては課税仕入れの内、課税売上対応部分と、非課税売上対応部分、さらに課税売上と非課税売上に共通で対応する部分を取引ごとに区分して、さらに共通対応となる一般管理費は・・・」
などと共通対応分の課税仕入の内容や考え方について説明をしていくと、明らかに社長や経理担当者の顔が不機嫌になっていくのが分かります。

「そんなこと、やっとられん。うちは一括比例配分方式でよか!」
と社長がキッパリと言い切れる会社はいいのですが、
本業の他に住宅貸付などの不動産賃貸業を兼業しているような課税売上割合の比率が95%ぎりぎりの会社は、手間ヒマかけて節税をするか、コストと割り切って手間を省くかはなかなか悩みどころです。

5億の売上を上げる会社というのは、そこそこの規模ではあり、それなりの経理担当者もいるとは思いますが、そのような会社であっても、経理担当者が消費税の取引内容を正しく理解して適切な処理をすることはなかなか大変だというのが率直な感想です。

もう既に個別対応方式で申告している場合はともかく、3月決算法人で課税売上が5億円を超えていながら今まで仕入税額を全額控除していた会社は、これから個別対応方式により消費税の申告を行うのであれば、早速、本年4月からこの取引ごとの消費税の対応区分を明確にしておく必要がありますので、ご注意ください!

消費税申告のお問合せは福岡市の田中秀樹税理士事務所

事務所入口

2012年05月15日

出るぞ、出るぞ、出るぞーっと言われながらやっと?
という感じで出てきた法人が支払う「がん保険の保険料」(終身保障タイプ)の取り扱いが法人税関係の個別通達(課法2-5 課審5-6平成24年4月27日)として発表されました。

詳しい内容はこちらをご覧ください。

昨年11月に生命保険協会にがん保険の取り扱いを見直すと発表し、平成24年2月末のパブリックコメントでの意見募集を経てからの通達公表だけに新年度の4月1日から適用開始かと思いきや、発表当日の4月27日以降契約の保険料から適用開始です。
3月31日までとしなかったのは、保険会社に対する国税庁の思いやりのあらわれでしょうか。

とはいえ、3月決算法人は決算対策に保険会社の営業マンから今ならまだ大丈夫と3月末に駆け込みで契約された会社も結構多かったのではないかと思います。

経理処理の方法は、すでにパブリックコメントで公表されていた通り、

終身払い込みの場合、
1.加入時の年齢から105歳までの期間のうちその1/2の期間は保険料の1/2を前払い金等として、資産計上し、

2.残りの期間で資産計上した前払い金等を按分して取崩し、支払保険料と共に損金算入する

というものです。

もともと、企業の節税対策として契約されることの多いこのがん保険、最終的には中途で解約して退職金準備などの資金作りに活用することが多いと思いますが、近年の日本人の死因ランキングで常にトップであるガンであるが故、死亡保険金はともかく、生存給付金を受け取った場合の、従業員への見舞金等の支給基準なども明確にしておきたいものです。

事務所風景