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2012年10月20日

もう一方の特定支出控除の改正の目玉が勤務必要経費。

平成24年改正では、勤務必要経費が65万円を上限として拡充されました。
こちらは職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服費、職務上必要な交際費や職業上の団体の経費などです。

図書の購入費や職業上の団体の経費はともかくとしても、衣服費や交際費はなかなか判断が微妙になってきます。

衣服費と言えば事務服、制服、作業服は明確ですが、今回、社内規定等の明文の定めがない場合であっても、
勤務場所においては背広などの特定の衣服を着用することが必要であることについて就職時における研修などで説明を受けているときや、
勤務場所における背広などの特定の衣服の着用が慣行であるときなどは、その背広代も認められることになりました。

その人の職務の遂行に直接必要なものであることについて給与等の支払者により証明がされたものであれば、高級ブランドのスーツであっても特に規制はないようです。
でも、上司より高そうなスーツを着て証明をもらうとなると、なかなか・・・

交際費については次のような要件があります。

1.「接待等の相手方」が給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者であること

2.「支出の目的」が給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者との間の親睦等を密にして取引関係の円滑化を図るものであること

3.「支出の基因となる行為の形態」が、接待、供応、贈答その他これらに類するものであること

交際費として認めてもらうには、上記の要件に基づき領収書の一枚一枚にわたって上記の要件が判断できる程度の支出の目的、得意先等の相手の氏名、人数等の記載が必要とされるでしょう。

また、職場における同僚との親睦会や同僚の慶弔のための支出は、特定支出とはなりません。

そして当然ながら、衣服費同様、交際費もその人の職務の遂行に直接必要なものであることについて給与等の支払者の証明が必要です。

ウーン、やはり、少しずつ内容が判明してくると、なかなか使いづらい制度ですね。

むしろオーナー経営者が交際費課税対策に、これを逆手にとって、本来会社が負担すべき交際費を社員の給与から自腹を切らせるところが出てくるのではないか、なんて考えてしまいます。

勤務必要経費は65万円と上限が定まっていますが、事業所得並みに確定申告するサラリーマンが現れるかもしれませんね。
でも、そうなったらいずれサラリーマンにも税務調査が入る日が近いかも。

勤務必要経費についての詳しい内容は、こちらの質疑応答編(国税庁HP)をどうぞ。

2012年10月10日

給与所得には必要経費に相当するものとして、給与所得控除があります。

これまでは特定支出として通勤費や転任のための費用、研修費用、単身赴任者の帰省旅費、資格取得費用(弁護士、公認会計士、税理士などの資格は除く)などの費用が給与所得控除を上回った場合に、その超える部分を追加して控除できるという仕組みでした。

今回の平成24年改正では、勤務必要経費(最高65万円)を含む特定支出の額が給与所得控除の1/2(最高125万円)を超える部分が追加して控除できるように変わりました。

文章にするとなかなかピンときませんが、イメージ図はこちらをご覧ください。

私は今まで残念ながら、この特定支出控除を使って給与所得者の確定申告をしたことは一度もありません。
又、私のまわりの税理士仲間でもこれを使って申告したという話は聞いたことがありません。

これまでは事業所得者の手前、サラリーマンにもとりあえず認めてやると言った、まさに「絵に描いた餅」のような制度だったのですが・・・

今回は資格取得費と勤務必要経費の内容が改正されました。

まずは資格取得費。

今までは資格取得費は弁護士、公認会計士、税理士などのその資格を持つことによって特定の業務を行える資格は対象から外されていました。

しかし、昔と違い士業といっても厳しい経済環境には変わりなく、資格を取れば独立するといった傾向が薄れ、勤務弁護士や補助税理士などのサラリーマン的な先生も増えているという背景を考慮してか、今回からそれが必要なものとして給与の支払者の証明があれば、必要経費として認める方向に変わったようです。

例えば税理士事務所に勤める税理士先生の息子が税理士資格取得のために通う専門学校の通学費用は、先生が業務の遂行に直接必要な支出であると証明すれば、今後はOKなんでしょうね。

でも、先般、国税庁HPに公開された
「平成25年分以後の所得税に適用される給与所得者の特定支出の控除の特例の概要等について(情報)」

の質疑応答編をみてみると、

受験資格を得る支出か否かで、法科大学院に係る支出はセーフで会計大学院のものはアウト、という説明もなんだか釈然としません。

まだまだ限られた人だけだと思いますが、今回の資格取得費は税理士事務所や弁護士事務所の職員さんの中には、確定申告にチャレンジしてみようという人も出てくるかもしれませんね。
これは平成25年分以後の所得税から適用です。

2012年10月01日

マリノア.JPG

9月29日はわが家にとって、とても大切な日でした。

にもかかわらず一週間前には曇りの予報だった天気は、台風の影響により次第に雨マークに変わり始めていました。

遠方からの来客が多いためか娘の様子も、ともすれば湿りがちです。

「大丈夫、私は晴れ男だから!」
と何の科学的根拠もなく娘を慰めていました。

でもうちのスタッフが言う通り、私が出掛ける時は雨がほとんど降らないのです。

そして、当日。
今にも降り出しそうな雨は誰かが涙をこらえんばかりに我慢しています。

私は初めて着るモーニングとウイングカラーのシャツにまごつきながらも何とか着こなし、教会の扉の外で娘とその時を待っていました。

一度きりのリハーサルでは何事もなくスムーズに終えての本番でしたが、いざ扉が開き、進みだしたところで、

「お父さん、今までありがとう。」と一言。

予期せぬ言葉に、
「・・・・・」

とてもうれしかったのですが、動揺し何も言えず、ただ頷くばかりでした。
今思えば何か一声かければよかったな。

その時の一枚がこれ
入場.JPG


仕事と披露宴の段取りに忙しく、主のいなくなった部屋は明日にも帰ってきそうなくらいにそのままです。
新居もわずか数分のところに構え、次の日も新婚旅行の準備に帰って来てガサゴソやってます。
嫁いだ娘を哀しむといった父の切ない感情が、なぜか不思議と湧いてきません。

披露宴で私が号泣する姿を一目見ようと張り切ってきた学生時代の友人にも、
「泣き顔を楽しみにしてたのになんで泣かないんだ!」
と悪態を突かれました。

だって私は晴れ男ですから、最後まで雨と涙は降らしません。
次はわからないけど・・・

ともあれ、式と披露宴に来ていただいた皆様、本当にありがとうございました。