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2013年11月01日

経営革新等支援機関とは平成24年8月30日に施行された中小企業経営力強化支援法に基づき、中小企業に対して専門性の高い支援を行うことを目的として創設されたもので、金融、税務、企業財務などに専門的知識を有し、実務経験が一定レベル以上のものが認定対象となっています。

当事務所も、遅まきながら先日、同支援機関の認定を受けました。

認定書

・自社の財務内容や経営状況の分析を行いたい
・事業計画を策定したい
・取引先を増やしたい
・販売を拡大したい

など、自社の抱える経営課題を解決するために経営革新等支援機関に相談されてはいかがですか。

事業計画書策定について認定支援機関の支援を受けることで、融資、税制面等で優遇措置を受けることができます。

融資面においては、例えば日本政策金融公庫(国民生活事業)であれば、

1.中小企業経営力強化資金<新企業育成貸付>
 
当制度は操業または経営多角化・事業転換等の新たな事業活動をするにあたり、新商品の開発など、新たな市場の創出を目指す事業者が対象です。

認定支援機関の事業計画策定のサポートを受けて、その後の計画の達成状況を報告することによって、1500万円までは、「基準金利−0.4%」でさらに無担保・無保証人で利用が可能となっています。

2.経営環境変化資金<経営支援型セーフティネット貸付>

こちらは一定の借り入れ負担があり、一時的に資金繰りが悪化している事業者が対象です。

認定支援機関の継続した経営支援を受けることにより、財務内容の健全化を計画する事業者が必要とする運転資金について「基準金利−04%」が適用されます。(赤字、債務超過でも要件を満たせば対象となりますので、詳しくはご相談ください。)

また、信用保証協会の保証付き融資についても、認定支援機関の支援を受け事業計画策定と達成状況の報告を行うことを前提に保証料が0.2%減額されます。

税制面においては商業・サービス等を営む中小企業等の設備投資促進税制が平成25年税制改正で創設されています。

こちらは
・対象者 青色申告書を提出する中小企業者(税額控除は資本金が3000万円以下の中小企業者、中小企業等協同組合等に限られます。)

・期 間 平成25年4月1日〜平成27年3月31日

・対象業種 卸小売りサービス等の指定事業

・対象資産 認定支援機関の経営改善に関する指導助言を受けて店舗の改修を行い取得した什器備品(1台の取得価額30万円以上)及び建物付属設備(一の取得価額60万円以上)

・特 例 取得価額の30%の特別償却か取得価額の7%の税額控除を選択適用


様々なメリットがある経営革新等支援機関の支援制度です。
経営体質改善や新規事業などを検討されている方はぜひお早めにご相談ください。

田中秀樹税理士事務所は中小企業の事業計画書策定をお手伝いしています。

2013年10月04日

先月の9月4日に、最高裁は法定相続人に非嫡出子がいる場合の法定相続分について嫡出子の1/2とするのは、違憲との判断を示しました。

非嫡出子とは、いわゆる婚外子のことですが、同じ被相続人の子であるにもかかわらず、正規な婚姻関係なく生まれた子は正妻の子の1/2しか相続分がないのは差別であるとの判断ですね。

確かに、欧米でもそういった差別はないようですし、そのほうが公平のような気がします。

しかしながら、いろんなその人によって家庭や事情があるのですから、批判を承知であえて言えば、正式な婚姻のもとに家庭を守ってきて、その被相続人の財産形成に寄与してきた家族もいるのですから、そういった相続人に対しても何らかの配慮があってもいいのではと感じてしまいます。

ただ、法定という相続分ですから一律に数字で割り切るしかないのでしょうね。

ところで、この相続分が変わることにより相続税も大きく影響を受けることになります。

民法は早急に改正を行う必要がありますが、婚外子相続自体はそれを待たずに発生する場合もありますから、相続税の計算方法にも注意する必要があります。

例えば、嫡出子と非嫡出子の二人が相続人の場合であれば、現行では法定相続分が、嫡出子2/3、非嫡出子1/3であったものが、今後は嫡出子、非嫡出子共に1/2ずつとなります。

基礎控除後の課税対象遺産が1億円であれば、現行の民法で計算すると、嫡出子6667万円、非嫡出子3333万円に対して相続税を計算し、相続税は合計で1767万円ですが、1/2ずつで計算すればそれぞれ5000万円に対する相続税で二人合わせて1600万円になります。

なんと、税率区分の影響で167万円の相続税が減少するんですね。

「よし、それなら相続対策に婚外子を作らねば・・・」

なんてバカなことを考える人はいないでしょうが、心当たりがある方は一度試算をしてみたらいいかも知れません。

相続関係が複雑にならないのが何よりですが、たとえそうなったとしても、被相続人本人が、生前にきちんと遺言書などでもめ事が起きないように考えてあげることが一番ですね。

相続対策のことなら、福岡市の田中秀樹税理士事務所

2013年09月20日

明治日本の産業革命遺産が世界文化遺産の候補としてユネスコに推薦が決定しました。

先日、その一部である端島炭鉱跡を見学してきました。

その名も黒いダイヤと名づけられた船に乗って約50分。

別名軍艦島と言われるこの異形の島は海上から見るとまさに軍艦でした。

軍艦島

周囲わずか1200メートル、駆け足で一周数分もかからないような島の敷地の中に、炭鉱のほかに、日本最古の鉄筋コンクリート高層アパートや、病院、小中学校はもちろん封切映画館やプールまであったというから驚きです。

東京都の人口密度の9倍に達し、最盛期には5300人もの人々が暮らしていたというこの島は、まさに日本が明治維新に近代化を突き進んで行った頃の繁栄の証なのかもしれません。

それがエネルギー革命で需要が石油にとって代わられると、島は無人島になり、廃墟となった施設は手つかずのまま風化し、現在は建物に近づくのさえ危険な状態です。

廃墟

今は上陸できるとはいえ、桟橋から通路が一部だけ整備され、跡地を遠巻きに眺めるだけです。

世界遺産に推薦されたとはいえ、今後ここがどこまで整備されるのかはわからないようです。ガイドさん曰く、おそらくこのまま風化して本当に瓦礫の島になるのではないか、ということです。

坑道へ降りていくエレベーターへ通じる階段
他の崩壊が進む中、そこだけは何か見えない力が支えるかのように奇跡的に残っています。

階段

ここを行き来した人々の思いがそうさせるのか、階段についた黒いしみが長年の風雪にさらされても未だにこびりついています。

当時、子供の頃実際ここで生活されていた方も見学に来られるようですが、見覚えのある場所のあまりの光景に記念写真も撮ることができないという方がほとんどだそうです。

ここで暮らしていた方々のことを偲ぶと、当時を知らない私でも切なさを感じてしまいます。

手を加えることに制限がある文化遺産だからと言って、ほとんど手つかずのまま放置するだけでいいのかと感じてしまいます。

そのうちホントに瓦礫の島になってしまうかもしれません。

市内観光もいいけれど、長崎へ観光した時はぜひ訪ねてもらいたい島です。