2013年10月04日

婚外子相続分違憲の影響

先月の9月4日に、最高裁は法定相続人に非嫡出子がいる場合の法定相続分について嫡出子の1/2とするのは、違憲との判断を示しました。

非嫡出子とは、いわゆる婚外子のことですが、同じ被相続人の子であるにもかかわらず、正規な婚姻関係なく生まれた子は正妻の子の1/2しか相続分がないのは差別であるとの判断ですね。

確かに、欧米でもそういった差別はないようですし、そのほうが公平のような気がします。

しかしながら、いろんなその人によって家庭や事情があるのですから、批判を承知であえて言えば、正式な婚姻のもとに家庭を守ってきて、その被相続人の財産形成に寄与してきた家族もいるのですから、そういった相続人に対しても何らかの配慮があってもいいのではと感じてしまいます。

ただ、法定という相続分ですから一律に数字で割り切るしかないのでしょうね。

ところで、この相続分が変わることにより相続税も大きく影響を受けることになります。

民法は早急に改正を行う必要がありますが、婚外子相続自体はそれを待たずに発生する場合もありますから、相続税の計算方法にも注意する必要があります。

例えば、嫡出子と非嫡出子の二人が相続人の場合であれば、現行では法定相続分が、嫡出子2/3、非嫡出子1/3であったものが、今後は嫡出子、非嫡出子共に1/2ずつとなります。

基礎控除後の課税対象遺産が1億円であれば、現行の民法で計算すると、嫡出子6667万円、非嫡出子3333万円に対して相続税を計算し、相続税は合計で1767万円ですが、1/2ずつで計算すればそれぞれ5000万円に対する相続税で二人合わせて1600万円になります。

なんと、税率区分の影響で167万円の相続税が減少するんですね。

「よし、それなら相続対策に婚外子を作らねば・・・」

なんてバカなことを考える人はいないでしょうが、心当たりがある方は一度試算をしてみたらいいかも知れません。

相続関係が複雑にならないのが何よりですが、たとえそうなったとしても、被相続人本人が、生前にきちんと遺言書などでもめ事が起きないように考えてあげることが一番ですね。

相続対策のことなら、福岡市の田中秀樹税理士事務所
posted by 田中秀樹税理士事務所 at 10:18 | Comment(0) | 所長ブログ
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