2013年09月20日

瓦礫の島

明治日本の産業革命遺産が世界文化遺産の候補としてユネスコに推薦が決定しました。

先日、その一部である端島炭鉱跡を見学してきました。

その名も黒いダイヤと名づけられた船に乗って約50分。

別名軍艦島と言われるこの異形の島は海上から見るとまさに軍艦でした。

軍艦島

周囲わずか1200メートル、駆け足で一周数分もかからないような島の敷地の中に、炭鉱のほかに、日本最古の鉄筋コンクリート高層アパートや、病院、小中学校はもちろん封切映画館やプールまであったというから驚きです。

東京都の人口密度の9倍に達し、最盛期には5300人もの人々が暮らしていたというこの島は、まさに日本が明治維新に近代化を突き進んで行った頃の繁栄の証なのかもしれません。

それがエネルギー革命で需要が石油にとって代わられると、島は無人島になり、廃墟となった施設は手つかずのまま風化し、現在は建物に近づくのさえ危険な状態です。

廃墟

今は上陸できるとはいえ、桟橋から通路が一部だけ整備され、跡地を遠巻きに眺めるだけです。

世界遺産に推薦されたとはいえ、今後ここがどこまで整備されるのかはわからないようです。ガイドさん曰く、おそらくこのまま風化して本当に瓦礫の島になるのではないか、ということです。

坑道へ降りていくエレベーターへ通じる階段
他の崩壊が進む中、そこだけは何か見えない力が支えるかのように奇跡的に残っています。

階段

ここを行き来した人々の思いがそうさせるのか、階段についた黒いしみが長年の風雪にさらされても未だにこびりついています。

当時、子供の頃実際ここで生活されていた方も見学に来られるようですが、見覚えのある場所のあまりの光景に記念写真も撮ることができないという方がほとんどだそうです。

ここで暮らしていた方々のことを偲ぶと、当時を知らない私でも切なさを感じてしまいます。

手を加えることに制限がある文化遺産だからと言って、ほとんど手つかずのまま放置するだけでいいのかと感じてしまいます。

そのうちホントに瓦礫の島になってしまうかもしれません。

市内観光もいいけれど、長崎へ観光した時はぜひ訪ねてもらいたい島です。
posted by 田中秀樹税理士事務所 at 08:38 | Comment(0) | 所長ブログ
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