2011年09月21日

逆ハーフタックスの保険料〜平成23年度税制改正〜

保険を利用した節税対策に逆ハーフタックスと呼ばれるものがあります。

一般にハーフタックスは、会社の従業員の退職金準備等の目的で、養老保険に加入し、満期保険金は会社が受け取り、死亡事故が生じた場合の保険金は従業員の遺族が受け取る契約形態で全従業員が加入することで福利厚生プランともいわれています。
そして支払保険料の内1/2を資産計上し、1/2は保険料(福利厚生費)として損金に算入されます。

逆ハーフタックスはその名の通り、満期保険金は被保険者(=個人)が受け取り、死亡保険金は会社になります。
支払保険料は1/2は保険料として損金算入し、満期保険金部分の保険料に相当する残りの1/2もやはり給与として損金に算入されます。

こちらは満期保険金が社外に流出してしまうので、福利厚生プランのように全従業員に加入させる例はあまり聞きません。
会社経営者やその親族従業員に限定して加入することが多いようです。
まさにオーナー経営者の個人資産形成プランと呼んだほうがいいでしょう。

この養老保険を使った逆ハーフタックスの契約については以前から疑問の声も多く、保険会社もその販売を見合わせているところが多いようです。
このような養老保険の使い方を想定していなかった法人税基本通達9-3-4の隙間を突いた商品ですが、契約期間中は個人が受け取る養老部分の保険料は給与課税されるので、現状では当局も静観しているようです。

ところが今回、この個人が受け取る満期保険金の受取時点での保険料の取り扱いが平成23年度の税制改正で変更されています。

居住者が支払を受けた生命保険契約等に基づく一時金にかかる一時所得等の計算上、その支払を受けた金額から控除することができる事業主が負担した保険料等は、給与所得に係る収入金額に算入された金額に限るという条文が追加されました。(所得税法施行令183条、184条)
つまり、会社が保険料として単純損金とした部分は、個人が負担したものではないので一時所得の計算上、控除することができなくなったということです。

この個人が受け取る満期保険金については、その所得の計算上、控除の対象となる保険料が明確でなかったために、これまで本人が給与課税された保険料の他に会社が負担していた保険料も控除して、当局とトラブルになっていたようでした。
そして裁判になったものの、福岡地裁、福岡高裁では国側の負け、と言うことで今回の改正となったようです。

普通に考えれば当然の改正でしょうが、本来は単純に支払保険料の2分の1を損金算入するという基本通達を見直した方がいいのではと思います。

この取り扱いは平成23年6月30日以後に支払われる満期保険金の計算から対象になります。
それ以前に払っていた保険料は従来の処理が認められるというわけではありませんのでご注意を。

舞鶴昭和通
posted by 田中秀樹税理士事務所 at 09:34 | Comment(0) | 所長ブログ
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