2011年06月09日

家族を失った被災者の相続放棄

先日、夜遅くに車で帰宅していると、FM放送で政府広報を流していました。
枝野官房長官が震災で親などの親族を失った方の相続放棄の手続き期限が迫っていることの周知を促す内容のものでした。

東日本大震災から早3ヶ月が過ぎようとしています。

ご承知のように、「相続放棄」は相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に放棄の手続きを取らなくてはなりません。
行方不明の場合は別にして、一般的にはその被相続人の死亡を相続人が確認した時点から、相続放棄の手続き期限のカウントが始まります。

亡くなられた方が財産よりも多額の借金があるのが明らかな場合などはすぐに手続きをとることに問題はないと思います。
但し、相続放棄は同時に財産も放棄することになりますから、債務や特に連帯保証などがどれくらいあるのかわからない場合は慎重に検討する必要があります。

「相続放棄」という言葉は、普通の人もよく耳にしていると思いますが、今回のような特殊な状況ではそこまでなかなか頭が回らないのではないでしょうか。
当面の生活に精いっぱいの被災者の方にこのような重大な決断を3ヶ月以内に行いなさい、と言うのはとても酷な話です。

震災後に日本広告機構の耳障りなCMを耳にタコができるくらい聞かされましたが、今回のような大事な情報こそ政府広報として繰り返し流すほうが、国民の法律意識が高まってよかったのではないかと思います。

と、この様な記事を書いていたら、
民主党は被災地での相続放棄の手続き期間を11月30日まで延長することを決めたようです。

もともと手続き期限の延長を申請することは可能だったのですが、今回は相続人自身も被災のケースが多いのですから、当然の措置だと思います。
さらに震災のために手続きできなかった被災者にも配慮し、昨年12月11日以降に相続開始を知った人を対象とするようです。

被災者にとっては朗報ですが、被災地では役所をはじめ、いろいろな機関や企業が麻痺している現状では、財産調査にも相当な時間がかかりそうです。
各種申請手続きの簡素化等の配慮がさらに求められそうですね。
posted by 田中秀樹税理士事務所 at 20:39 | Comment(0) | 所長ブログ
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