2011年01月12日

EB債にご用心!

証券会社が販売している債券の中に他社株式転換条項付き社債(EB債)というものがあります。
いわゆる仕組み債と言うものです。

EB債は、対象となる銘柄の株価が償還日の直前の評価日に事前に決めた行使価格を上回っていれば、元本と高利回りの利息を受け取ることができる代わりに、その社債に組み込んでいる株式の価格が一定の株価(トリガー価格)を割込んでしまった場合、そのEB債は株式として途中償還されてしまうというものです。

つまりこの商品は、買った人からすれば株価が下がるリスクは自分が負い、いくら株価が上がっても当初の元本と多少高めの利息分しか戻ってこないのです。

少し株のことを理解している人なら、最初からその株を買っておけばいいことですよね。

普通の人が事前にきちんと説明を受けてそのリスクを理解していれば、このような商品に手を出す人はまずいないと思うのですが、高利回りを強調されてつい購入している人がやっぱりいるんですね。
私からみると、まさに詐欺まがいの商品にしか思えません。

当事務所で手がけた相続税の申告でも、このEB債を保有している方がいらっしゃいました。なんと亡くなられる直前の入院先の病院にまで電話をかけてきて、家族のいない間に注文を取っていた形跡があります。

原則として解約することはできませんし、仮に換金できたとしても非常に大きな損が発生してしまう状況です。
相続税の納税資金に重大な影響を及ぼすことになってしまいますね。

評価上は利付公社債に分類されるので、原則として財産評価通達197-2の利付公社債の評価に準じて、そのEB債の発行価額に源泉所得税控除後の既経過利息を加算して評価することとなります。

しかし内容がほぼ株式を購入したものと実態が変わらないこのような仕組み債を株価が下がっている時期に通達どおりに評価していたらたまったものではありません。
国税庁もさすがにこれはひどいと思ったようで、財産評価通達169(1)の通常の上場株式の評価に準じた評価に源泉所得税控除後の既経過利息を加算して評価してもよいとしているようです。

仕組み債は発行される債券ごとに様々な特徴や特別な条件が付帯されていることが多いので、プットオプションだの、ノック・インだの自分にとってよく理解できない単語が乗ったパンフレットを見せられたら、高齢者の方やそのご家族はまず用心したほうがいいと思います。
ソニーやトヨタ等の一流銘柄対象にしているとか、北欧のAAAの格付けの公社や銀行が発行している債券だからとか言われてもまったく安心できません。

心当たりがある方は、まず証券内容のご確認を!

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事務所風景
posted by 田中秀樹税理士事務所 at 10:33 | Comment(0) | 所長ブログ
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