2012年09月07日

プレー権のみとなったゴルフ会員権の譲渡

先日、「更正手続等により優先的施設利用券のみとなったゴルフ会員権をその後譲渡した場合の譲渡所得に係る取得費の計算」というタイトルで国税庁から質疑応答事例が出されました。

その内容はこちら
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/07/05.htm

これは東京高裁判決(平成24年(行コ)第43号)を課税庁が上告せず、判決が確定したことを受けて出されたものです。

再建型の法的整理により預託金の一部が切り捨てられた場合は、ゴルフ会員権の取得に要した費用すべてが取得費として控除が認められるという取り扱いは従来通りですが、
預託金の全部が切り捨てられた場合の取扱いが変わっています。

これまでは、預託金が全額切り捨てられ、プレー権のみが残った会員権は、法的整理の前と後ではプレー権自体も同一性はないとして、そのプレー権だけが残った会員権を譲渡した場合、取得費は実質的にないものとされていました。

一部切り捨てか、それとも全額切り捨てか、で取り扱いが異なるなんてゴルフ会員権の所有者にとっては何とも納得しかねる取扱いですね。

一部切り捨てなら取得費が認められ譲渡損で損益通算が可能になり税金の還付さえ受けることさえできるのに、
全額切り捨ては取得費が認められず譲渡益が生じたら納税しなくてはいけないとは、まさに泣きっ面にハチです。

今回、
1.更生計画等の内容からプレー権が会員の選択等に関わらずその更正手続等の前後で変更がなく存続することが明示的に定められていること。

2.その更正手続き等によりプレー権のみのゴルフ会員権となるときに、新たに入会金の支払いがなく、かつ、年会費等納入義務等を約束する新たな入会手続きがとられていないこと。

というの要件のもと、新、旧プレー権の同一性が確認できれば、切り捨てられた預託金以外の部分(入会金)は取得費として認められました。

その取得費の取扱いの詳細はこちら
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/golf/01.htm

預託金全額が無理とはいえ、入会金だけでも取得費算入が認められただけ、まだましになったといえます。

この取扱いの変更を知った日の翌日から2ヵ月以内であれば更正の請求も可能ですので、ひょっとしたらと思い当たる節がある方はお早めに税理士にご相談を!

応接室

福岡近郊のゴルフ場でも預託金の償還期限を迎え、法的整理か全額切り捨てを迫っているところがあると聞きます。

これからゴルフ場運営会社も、この取り扱いを受けて我が意を得たりとばかりに税務上のメリットを強調して預託金の全額切り捨てを実施するところが増えるかもしれませんね。

posted by 田中秀樹税理士事務所 at 13:24 | Comment(0) | 所長ブログ
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