2010年01月02日

相続が始まった! その2

2010年が始まりました。本年が皆様にとって、良い年でありますように心よりお祈り申し上げます。

さて、昨年末は当事務所にとって様々な出来事がありました。私の個人的な弔事に加え、12月27日には事務所を移転しました。新年の仕事始めは1月5日から新事務所で開始します。

また、1月15日には新事務所のある東芝福岡ビル最上階の社員食堂をお借りして、関与先や専門職の先生方も多数参加して頂き情報交換、異業種交流を図る新年賀詞交歓会を開催する予定です。ご興味がある方はお問い合わせよりご参加の旨をご連絡ください。
ご連絡を心よりお待ちしております。

さて、相続のこととは少し横道にそれるのですが、前回に続き父が亡くなる直前の銀行とのやりとりを少し記したいと思います。

亡くなる直前、父には賃貸不動産兼自宅の建設資金の借入の残金がA地銀に約2000万円ありました。
この借入金の5年ごとの金利見直しが、あろうことか11月10日に迫っていたのです。私も仕事柄、このような事には敏感なほうなので、夏場から今度の金利がどの位になるのか、銀行担当者にそれとなく打診はしておいたのですが、その時点で、担当者にも11月頃の金利が分かるはずもなく、10月ごろまでウヤムヤになったままでした。

11月初めに担当者が提示していた金利は私にとっては、やや不満の残るものでしたが、もはや他の銀行と交渉する時間はなく、父の病状から今回はやむを得ないと判断しました。

問題はこの後発生しました。

11月の1週目は、父は文字は書けないものの意識ははっきりしていたのですが、その週末から急に容体が悪化していったのです。
固定金利変更の契約を交わすのに本人の自筆のサインがとれないのです。本人の自筆のサインがとれない場合は、その推定相続人全員の了解のもと、その推定相続人の代表者の代筆でも認めるというのですが、だからと言って推定相続人全員がすぐに集まれるわけではありません。
そして、その変更の契約が間に合わなければ自動的に変動金利の契約に変わるというのです。しかも、なぜか固定金利の利率より変動金利の利率のほうが1%以上も高いのです。

電話の先でのやり取りにとうとう私はキレてしまいました。
あわてて、A行の担当者とその上司がやってきて行内の事情を説明し、手続きはどうしても変えられないというのです。しかも本人が本当に契約書に自署出来ないこと、また代筆を他の者に任せてもいいという意思を、行員2名が本人に確認しなければならないと言い出しました。これには母もキレてしまいました。
その頃にはもうほとんど意識がなくなり、酸素吸入器を付けて喘いでいる父の姿を見せなければならないのかと思うと、やるせない気持ちでいっぱいでした。

私も税理士という仕事に携わっている者として、法律を守るということはとても大事なことだと考えています。銀行の言っていることも十分に理解しているつもりですし、本人の意向確認やコンプライアンスの精神を否定するつもりはありません。
また、A行の担当者の方たちも重篤の病人の病室にぞろぞろやってきて、病院関係者や他の患者のいるところでそのような意向確認をするような非常識な振る舞いを好きでやるわけではないことは十分承知しています。

それでも、あえて私は声を大にして言いたいのです。

もう10年以上も取引を続けているにもかかわらず、そんなに私を信用してもらっていないのかと!

現場の担当者はそんなことは十分わかっていると思います。担当者から上司、上司から支店長、さらに本部へと現場から離れるに従って、法律的な部分の形式判断になりがちなのは仕方がないかもわかりませんが、もっと担当者は現場の状況をよく説明し、銀行の本部は現場の状況をもっとよく理解して現場の担当者に判断を任せてほしいと思います。

そして、結局は、行員2名が病室にやってまいりました。
当たり前ですが、一目見ただけで担当者は状況を察してくれましたが、その病室内で家族全員が見守るという何とも気まずい雰囲気の中、母が書類に代筆を行いました。
そしてその翌日、父は亡くなりました。

正月早々、非常に重い内容からスタートして申し訳ありませんが、今年も身近な題材でお役にたてるような情報を発信していきたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

相続対策のことなら田中秀樹税理士事務所へ
posted by 田中秀樹税理士事務所 at 03:10 | Comment(0) | 所長ブログ
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