2013年03月19日

これって財産?山林・立木の評価

今年も平成24年の確定申告が終わり、まだまだ雑務が片付きませんが、ようやくやりかけの相続の仕事に手をつけることができます。

ところで相続税の申告をやっていると、たまに空しくなることがあります。

福岡県の地方都市にある山林を相続された方の、筆数にして100筆以上の山林を評価することに。

山林自体の評価は、市町村の固定資産税評価額があるのでそう悩むことはないのですが、問題は立木です。

まずはその山林を管理する森林事務所に行って森林簿を入手しなければなりません。

そして山林と突き合わせをした上で、小出し距離や原木市場までの距離などを基に樹種、樹齢ごとに地味級などの諸等級を算定するのですが、これがとても面倒な計算です。

さらに保安林があれば、伐採制限の度合いで控除があり、その上、その立木を相続した相続人にはさらに15%の評価減があります。

そして極め付けは所有権の共有持分です。

相続争いで、登記が先代や先々代名義のままほったらかされたものもあり、まるでマンションの敷地権の持分のようになっています。

控除したり、按分したりいろいろ計算した立木を評価単位別でみると、樹齢何十年かの杉や桧がわずか数円から数百円なんてことに。

全体を集計すれば、そこそこの評価となるので、ひと財産と言えばそうですが、簡単に換金出来るわけでもないに、これって本当に財産価値ってあるんですかね。

立木の管理費用や伐採費用、名義変更の費用などを考えるととても財産とは言えたものではありません。

むしろ所有している間、余計な費用がかかる分、負債に近い感覚じゃないでしょうか。

だからみんなもらいたくないし、もらってもお金をかけたくないし、ほったらかす気持ちもよくわかります。

さらに相続人が先代の兄弟の子や孫にまで広がっていると、当事者達ももうどうしようもないといった諦めムードです。

まさにアンタッチャブルですね。

山林・立木専門の地上げ屋がいたら、みんな喜ぶのにと思うのですが、やっぱり採算合わないかな。

膨大な登記簿の所有権を読み解くことから始まるこの作業、何といっても相続争いしないことが一番大切だということを心から実感させてくれます。
posted by 田中秀樹税理士事務所 at 20:01 | Comment(0) | 所長ブログ
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