2011年03月04日

固定資産税相当額の理屈

確定申告時期に、譲渡の案件を手掛ける度に、理屈は分かっていても、納税者感情としては納得いかないことがあります。

固定資産税はその年の1月1日の所有者に課税されるため、不動産を譲渡したら、決済の時に売買代金の他に決済日までの固定資産税を日割計算して精算するのが習わしとなっています。

これは実費額そのものを精算するわけですから、これで儲けたという感覚はないのですが、税務上は固定資産税相当額(税額そのものではないという意味です)として譲渡所得の収入金額に加算する必要があります。

一方、売却した人が支払う固定資産税そのものは譲渡費用には含めることができません
所得税の確定申告書に添付する譲渡所得の内訳書をよく見てみると、譲渡費用を記入する欄の下に、「修繕費、固定資産税は含まれません」と何やら小さい文字で記載してあります。

修繕費や固定資産税は不動産の維持管理費用ですから、譲渡費用に算入されないというのがその理由です。しかしその反面、固定資産税相当額は固定資産税そのものではないのだから譲渡収入に加算して課税するというのは、いささか釈然としない思いがする人が多いのではないでしょうか。

特に譲渡金額が大きいと固定資産税相当額も多額になるのでこれに譲渡所得税が課税され、さらにその人が消費税の課税事業者で、それが事業用や貸付用の家屋の譲渡であれば消費税まで課税されることになります。

逆にその不動産を取得した人にとっては、固定資産税相当額はその不動産の取得価額に算入することになります。たとえそれが賃貸用物件であっても租税公課として必要経費に算入することはできません。

ウーン、やっぱり何か気分が悪いですよね!

固定資産税相当額は実費を日割計算した場合に限り、譲渡対価ではなく、維持管理費用である固定資産税そのものを負担したものとみなす、というくらいの太っ腹な弾力的運用を課税当局には是非検討して頂きたいものです。

確定申告まであと10日余り。
相談はお早めに!

確定申告のことなら福岡市の田中秀樹税理士事務所へ

エントランス
posted by 田中秀樹税理士事務所 at 09:11 | Comment(0) | 所長ブログ
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス(ブログには公開されません):

ホームページURL:

コメント:

認証(表示されている文字列を入力してください):
tlp4